45+のためのPM職域マップ — 40パターンを年齢許容度で読み替える
- 山根一城氏は、PMを40パターンに分け年齢許容度◎○△×で読み替える45+向け職域マップを提示している。
- ブロックA王道IT系では情報システム部門PMやユーザー系SI PMが◎で、45+の最も現実的な柱とされる。
- 45+の戦略は◎の職域から土台を作り、○に挑戦し、△以下は業界知識・AI・上流経験の掛け算がある場合だけ狙うこと。

「45歳でも通る求人って、実際どこにあるんですか?」
面談で地図を広げると、皆さんまずここを聞かれます。「PMは40パターン存在する」——僕が繰り返し言っていることですが、同じPMという肩書きでも、社内情シスとメルカリのようなアプリ企業とでは、見えている景色が全く違います。そしてこの40パターンに年齢許容度という軸を重ねると、45歳からの転職地図が浮かび上がります。本記事はその地図の全体版です。
0. 凡例を定義する
先に凡例です。◎=50代でも可/○=45歳前後まで/△=40歳前後まで/×=実質35歳以下。あわせて年収レンジも添えます。数値・記号はPM Career Guide/PM Questの整理に基づく目安値で、個別企業では当然変動します。地図は正確な測量図ではなく、登山口を選ぶための概念図だと思ってお使いください。ちなみにPMの分類自体は5ブロック——A王道IT系/B Web系隣接/C ハードウェア・組み込み系/D AI系/E 非IT系——で見ています。
1. ブロックA(王道IT系)— 45+の主戦場
| 職域 | 年齢 | 年収目安 | ひとこと |
|---|---|---|---|
| 情報システム部門PM | ◎ | 500〜1,000万 | 発注者側として歓迎。最多パターン |
| ユーザー系SI PM | ◎ | 500〜1,100万 | 親会社の業界知識が強み |
| 1.5次請けSIer PM | ◎ | 500〜1,000万 | 求人絶対数が多い現実的な狙い目 |
| 2次請け・SES PM | ◎ | 500〜900万 | 入りやすい。ただし実態の確認は必須 |
| 中堅プライム系SIer PM | ○ | 600〜1,200万 | 実績があれば年齢を問わず採用 |
| 大手SIer PM | ○ | 600〜1,400万 | 経験者採用中心・難易度高め |
| バーティカルSaaS PM | ○ | 500〜1,000万 | SIer経験者が評価される狙い目 |
| スマホアプリ系PM | △ | 600〜1,100万 | エンジニア文化が強くPMの席自体が少ない |
| ホリゾンタルSaaS PM | △ | 600〜1,000万 | 技術素養必須 |
見てのとおり、Aブロックの◎は「発注者側」か「元請け〜受託の実務」に集中しています。いくつか補足させてください。
1-1. 情報システム部門PM — ◎の代表格
発注者側のPMは、ベンダーコントロールと予算統制が主業務です。つまり「業者に発注してきた経験」より「業者として揉まれてきた経験」が歓迎される、受託経験者にとって相性の良い着地点です。50代の決定も珍しくない、45+にとって最も現実的な柱だと考えています。
1-2. SES系PMの注意 — 「PM経験」の中身を自分で検品する
2次請け・SESは入りやすい一方、注意があります。企業側は「SESのPM経験」の一部が実態としては客先常駐のチームリーダーであることを知っていて、必ず中身を確認してきます。①何名×何ヶ月×予算いくらか、②要件定義から関与したか途中参画か、③最終意思決定者は誰だったか。この3問に即答できるかどうか、応募前にご自身で検品しておくことをおすすめします。詳しくは換金法で書きました。
1-3. バーティカルSaaS — 斜めの掛け算が効く場所
建設・医療・物流など特定業界向けSaaSは、業界知識×IT経験の掛け算を評価します。SIerで特定業界を長く見てきた方が「その業界の言葉が話せるPM」として化ける、僕の好きなパターンです。
2. ブロックB(Web系隣接)— 制作起点なら開いている
Web系はプロダクト企業(Aブロックの△ゾーン)だけではありません。制作・受託起点の総合Webインテグレーター(◎・500〜1,000万円)は、SIer経験者が転換しやすい入り口です。Web制作専業(○・500〜900万円)、EC・大規模Web受託(○・500〜1,000万円)も45歳前後まで開いています。同じ「Web系」の求人票でも、制作起点と自社プロダクト起点は別の職種だと思って読み分けてください。
3. ブロックC(ハードウェア・組み込み)— 経験が資産になる場所
老舗製造メーカー系(◎・550〜900万円)、組み込み・制御系メーカー(◎・550〜900万円)、組み込み系受託(◎・450〜700万円)。安全性・品質基準が厳しい世界では、長年の経験がそのまま信用として評価されます。45歳が「ちょうど良い」年齢ですらある、数少ない領域です。機械・電気のバックグラウンドがある方には年齢がハンデにならない主戦場になりますが、求人の絶対数は多くない点だけご認識ください。
Cブロックで面接に進んだ場合の語り方も添えておきます。この業界の面接官が聞きたいのは、モダンな開発手法の経験ではなく、品質と安全にどう向き合ってきたかです。「不具合の流出をどう防ぐ仕組みを作ったか」「規格・基準との突き合わせを誰がどう担保したか」。派手さのない話ほど、この業態では信用になります。IT系の面接の癖で「スピード感」を強調すると、むしろ逆効果になり得る点はご注意ください。
4. ブロックD(AI系)— 3層で読むと、45+の扉が見える
「AIは若い人の領域」と思われがちですが、実はそうではありません。AI系は3層に分けて読むのがコツです。
- TIER1:AIを作る側(基盤AI企業・研究特化)— ×。国内にPM求人がほぼ存在せず、研究バックグラウンドが前提。ここは最初から外してよい層です
- TIER2:AIを使って作る側(AIソリューション企業・生成AIプロダクト・AI機能付きSaaS)— ○中心・600〜1,500万円。SaaSやPMの経験があれば転換可能
- TIER3:AIを使って支援する側(新興・中規模ITコンサル◎・500〜1,500万円/AIインテグレーター◎・500〜1,200万円)— 45+に一番開いている扉。生成AI活用の実績があればポテンシャル採用も活発です
評価されるのは研究歴ではなく「AIで業務をどう変えたか」の実例です。社内の小さな自動化でも、着手前後の工数を定量で語れれば立派な実績になります。年齢×AIの掛け算はまだ競合が薄く、個人的には45+にとって一番の成長株だと見ています。
5. ブロックE(参考)— IT系PM以外という選択肢
参考までに、建築・土木系PM(◎・500〜1,000万円)のようにITの外にも年齢許容の高いPM職はあります。ITとは実質別職種なのでこの地図の本線からは外しますが、「PMという能力は業界を選ばない」ことの証左として頭の片隅に置いておいて損はありません。
6. 地図の使い方 — 3ステップで現在地から線を引く
地図は眺めるだけでは意味がないので、使い方も書いておきます。僕が面談でやっているのは次の3ステップです。
- 現在地に印をつける:いまの自分の職域はどのブロックのどの行か。1つに決まらなければ複数でも構いません。
- 隣接する◎を探す:現在地から「業務内容が近い」「業界知識が通じる」◎の行に線を引く。たとえば2次請けSIer→1.5次請け→情シスは、実務がほぼ地続きです。遠くの◎(たとえば組み込み未経験で組み込みメーカー)は、線が引けないので候補から外す。
- 掛け算を1つ乗せる:線を引いた先に、業界知識・AI活用・上流経験のどれかを掛けられないか考える。掛け算が1つ乗ると、同じ◎の中でも書類の目立ち方が変わります。
ポイントは、地図上の「距離」で考えることです。年齢許容度が◎でも、現在地から線が引けない職域は、あなたにとっての◎ではありません。逆に○の職域でも、線が太く引けるなら◎の隣に置いていい。記号は市場の平均値、線の太さはあなたの個別値です。
6-1. もう一つの読み方 — 上流にどこまで遡れるか
この地図にはもう一つ、隠れた軸があります。職域の上流度です。PMの仕事を上流から並べると、課題設定→システム化企画→要求定義→要件定義→基本設計→開発→運用となりますが、要件定義より上流——「何を作るか」ではなく「何が課題か」から入った経験を持つ方は、僕の体感値ではかなりの少数派です。AIが要件定義の叩き台を書く時代になり、この上流経験の価値は年々上がっています。45歳で上流経験をお持ちなら、それは地図のどのブロックでも通用する共通通貨です。棚卸しの際、「自分はどこまで遡ったことがあるか」も必ず確認してみてください。
7. もう一つの軸 — その職域は10年後も残るか
45歳の転職は、多くの方にとって「あと15〜20年働く場所」選びです。だから年齢許容度と年収に加えて、AI耐性という軸も添えておきます。断定はできない領域なので、あくまで僕の見立てとして聞いてください。
進捗管理・議事録・タスク割りといった「調整の作業」は、AIによる代替が最も速く進んでいる部分です。一方で、ベンダーと経営の間で責任を持って判断する仕事、現場の言葉を要件に翻訳する仕事、品質と安全に判を押す仕事は、AIが叩き台を書く時代になっても最後に人の名前が要る。同じ職域の中でも、作業寄りの席は痩せ、判断寄りの席は残る、というのが基本の見立てです。
この観点で地図を見直すと、発注者側PM(判断と責任の塊)や組み込み系(安全に判を押す仕事)は、年齢許容度だけでなくAI耐性でも悪くないポジションです。逆にどの職域に行くにせよ、「自分の仕事のうち、作業は何割か」を意識して、判断側に寄っていく動き方をおすすめします。
(結論) ◎から埋める
つまり45+の戦略はシンプルで、◎の職域から応募の土台を作り、○に挑戦し、△以下は掛け算(業界知識・AI・上流経験)がある場合だけ狙う。地図を持たずに求人サイトの検索窓と向き合うのは、登山口を決めずに山に入るようなものです。全40パターンのどこに自分が立てるかは、45+市場価値診断で3分で当たりが付きます。皆さんいかがでしたでしょうか。地図を持って、絞って戦いましょう。

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PM QUEST自分の現在地を、3分で確かめる。
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よくある質問
Q. 45歳でも通るPM求人はどこにある?
記事では、ブロックA王道IT系の情報システム部門PM、ユーザー系SI PM、1.5次請け・2次請けSIer PMが◎(50代でも可)とされ、45+の主戦場と位置づけられています。特に発注者側のPMは受託経験者と相性が良く、50代の決定も珍しくない最も現実的な柱です。年齢許容度◎から応募の土台を作るのが基本戦略とされています。
Q. AI系PMは若くないと無理?
記事によれば、AI系は3層で読むのがコツで、必ずしも若手限定ではありません。基盤AIを作るTIER1は×ですが、AIを使って支援するTIER3(新興・中規模ITコンサル◎、AIインテグレーター◎)は45+に一番開いている扉とされています。評価されるのは研究歴ではなく「AIで業務をどう変えたか」の実例で、年齢×AIは競合が薄い成長株と見られています。
Q. 組み込み・ハードウェア系PMは45歳に不利?
記事では逆で、老舗製造メーカー系や組み込み・制御系メーカーなどが◎とされ、45歳が「ちょうど良い」年齢ですらある数少ない領域と説明されています。安全性・品質基準が厳しい世界では長年の経験がそのまま信用として評価されるためです。ただし求人の絶対数は多くない点に注意が必要とされています。
by PM Quest