PM QUEST データ研究室 2026-09-24
「山根さん、結局、面接って何を見られているんですか?」
PM(プロジェクトマネージャー)の方との面談で、この質問は本当によくいただきます。そして僕は、長らくこの質問にふわっとした答えしか返せていませんでした。「企業によりますね」と。事実ではあるのですが、明日面接を控えている方にとって、これほど役に立たない回答もありません。
そこで今回は、当社に蓄積された選考記録を項目別に集計してみました。企業が「ここを見ている」と言及したポイントと、見送りになった際の理由。この2つを比率で並べます。
定義から入る癖があるのでお許しください。この記事に出てくる%は、次の2種類です。
| 呼び方 | 集計の対象 | 数え方 |
|---|---|---|
| 言及率(見られるポイント) | 当社が支援したPM職の選考記録のうち、企業側の評価コメントがあるもの | その観点が言及された記録の比率 |
| 言及率(見送り理由) | 同じく、見送りとなった記録 | その理由が挙がっていた記録の比率 |
誤解がないように申し上げると、これは当社の選考データであって、日本のPM転職市場全体の統計ではありません。集計の規模や対象企業については非公開とさせてください。あくまで比率だけをご覧いただく前提で書いています。
また、ひとつの選考記録に複数の観点が記録されるため、合計は100%を超えます。「33%」は「その理由だけで結果が決まった割合が3分の1」という意味ではなく、「記録の33%でこの観点が言及された」という意味です。ここを読み違えると、この先の話が全部ズレます。
| 順位 | 見られているポイント | 言及率 | 軸 |
|---|---|---|---|
| 1 | マネジメント規模・PM経験の厚み | 33% | 職種経験 |
| 2 | 技術理解・開発経験の深さ | 24% | 技術スキル |
| 3 | 上流工程・要件定義の経験 | 18% | 職種経験 |
| 4 | 業界・ドメイン知識 | 12% | 職種経験 |
| 5 | コミュニケーション・説明力 | 11% | 人間力 |
| 6 | 人柄・カルチャーマッチ | 9% | 人間力 |
| 7 | 自走力・スピード感 | 5% | 人間力 |
資質の話を混ぜると議論がぼやけるので、右端に軸を振りました。職種経験(1・3・4位)、技術スキル(2位)、人間力(5・6・7位)の3つです。
| 軸 | 言及率の合計 |
|---|---|
| 職種経験(規模・上流・ドメイン) | 63% |
| 人間力(説明力・人柄・自走力) | 25% |
| 技術スキル(技術理解・開発経験) | 24% |
※各項目は重複して記録されるため、この合計値も「軸ごとの言及量の相対比較」として読んでください。厳密な構成比ではありません。
ここからが本題です。見送り理由の比率を並べます。
| 順位 | 見送り理由 | 言及率 |
|---|---|---|
| 1 | 経験不足(技術・開発・特定領域) | 45% |
| 2 | 年齢・将来性への懸念 | 35% |
| 3 | カルチャー・志向のミスマッチ | 32% |
| 4 | 年収・条件の乖離 | 14% |
| 5 | 出社・転居・リモート条件 | 12% |
| 6 | 経験の分散・専門性が見えない | 6% |
| 7 | 説明が冗長・コミュニケーション | 5% |
| 8 | スピード感・エネルギー不足 | 2% |
2つの表を重ねると、ねじれが見えます。項目名の粒度が完全に一致するわけではないので、近い観点どうしを並べた対応表として見てください。
| 観点 | 見られる順(言及率) | 落ちる順(言及率) |
|---|---|---|
| 技術・開発・特定領域の経験 | 2位 / 24% | 1位 / 45% |
| カルチャー・志向 | 6位 / 9% | 3位 / 32% |
| コミュニケーション・説明 | 5位 / 11% | 7位 / 5% |
| 自走力・スピード感 | 7位 / 5% | 8位 / 2% |
| マネジメント規模・PM経験の厚み | 1位 / 33% | 単独の理由としては記録なし |
逆に、コミュニケーション(11%→5%)や自走力(5%→2%)は、見られてはいるが落ちる理由としては下位に沈みます。個人的には、ここが一番の発見でした。「面接対策」と言われて多くの方が真っ先に磨くのは話し方です。でも当社のデータで見る限り、話し方が理由で見送りになる割合は小さい。
ここは補足しておきます。話し方が下位なのは「話し方が下手でも通る」という意味ではないと思っています。説明が成立していない場合、そもそも技術理解や上流経験が「伝わらなかった」という形で1位の項目に吸収されている可能性があります。この切り分けは、今回の集計ではできていません。
2位の「年齢・将来性への懸念」35%。この数字だけは、慎重に扱う必要があります。求職者ご本人の努力では動かしにくい要素だからです。
| 内容 | |
|---|---|
| データから言えること | 見送り記録において、年齢・将来性という観点が35%の頻度で言及されている |
| データから言えないこと | 年齢そのものが理由なのか、年齢に対して期待される経験・レンジとのギャップが理由なのか。当社の集計では分離できていない |
そのうえで推定を申し上げると、1位「経験不足」45%と隣り合っている以上、「年齢に対して積み上がっている経験の種類が、その企業が求めるものと違う」という読み方のほうが実態に近いと、僕は捉えています。あくまで数字を見た僕の解釈であって、データが証明しているわけではありません。
だとすれば、打ち手は年齢の側ではなく、経験の語り方の側にあります。
ここまでの比率を、そのまま準備時間の配分に落とします。配分の数値は、見送り理由の比率をもとにした僕の設計であって、データから自動的に出てくるものではありません。
| 優先度 | やること | 効く数字 |
|---|---|---|
| 1(約半分) | 技術・領域の解像度を言語化する | 落ちる1位 45% |
| 2(約3割) | 志望動機ではなく「志向の一致」を確認する | 落ちる3位 32% |
| 3(約1割) | マネジメント規模と上流経験の棚卸し | 見られる1位 33%・3位 18% |
| 4(約1割) | 条件面の事前すり合わせ | 落ちる4位14%+5位12% |
| 5(残り) | 話し方の練習 | 落ちる7位 5% |
比喩で言うなら、好きな飲食店をイメージしてください。味(技術・領域の経験)が一定水準に達していない店は、内装がどれだけ良くても選ばれません。でも味が同水準の店が並んだとき、決め手になるのは内装や接客(人柄・説明力)です。落ちる理由と加点項目の関係は、これに近いと個人的には思っています。
予防線ではなく、誠実さの問題として書いておきます。
そのうえで、推定をひとつだけ。技術・領域の経験不足が見送り理由の45%を占めている以上、「PMです」という肩書きだけでは今後さらに通りにくくなるのではないか、と見ています。根拠はこの比率と、AIが要件定義の叩き台まで書くようになった現場の感覚だけです。断定はできません。ただ、職種ではなく職域で語る必要は、年々強くなっている気がしています。
まだ書きたいことはあるのですが(業態別の内訳など)、長くなりすぎてしまうため、一旦ここで終えたいと思います。今後も当社の選考データからわかったことをアウトプットしていきます。よろしければフォローもよろしくお願い致します。
では今日もがんばりましょう。
※本記事の数値は、PM Quest(株式会社ポテンシャライト)に蓄積された選考記録・市場観測データの集計に基づきます。個別の企業・候補者を特定できる情報は含みません。