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監修:山根一城(株式会社ポテンシャライト代表取締役CEO / 業界20年)

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PM業務のクラウド活用

Cloud for PM Work

定義

PM業務のクラウド活用とは、プロジェクトマネージャーが担う進捗管理・課題管理・工数集計・ドキュメント共有といった作業を、自社サーバーではなくクラウド上のサービスで行うことを指します。各メンバーがブラウザから同じ情報にアクセスし、更新がすぐ反映される状態を前提に、PMが計画と実績を一元的に見られるようにする進め方です。

詳しい解説

まず軸を「どのPM業務をクラウドに乗せるか」に置いて考えると整理しやすくなります。PMの日々の作業は、計画づくり・進捗の把握・課題やリスクの管理・関係者との情報共有に大きく分かれ、それぞれに対応するクラウドサービスが存在します。

  • 進捗管理とタスク管理
    WBSやガントチャート、カンバン形式のボードで、タスクの担当者と期限、進み具合をメンバーが直接更新します。PMは最新の状態をそのまま確認できます。
  • 課題・リスク管理
    課題一覧やリスク登録簿をクラウド上に置き、起票から対応状況の更新、クローズまでを同じ画面で追います。誰がいつ更新したかの履歴も残ります。
  • 工数とコストの集計
    各メンバーが入力した作業時間を自動で集計し、計画工数との差を見られるようにします。月末のまとめ作業を減らす狙いがあります。
  • ドキュメントと議事録の共有
    要件定義書や会議の議事録、決定事項をクラウドストレージや共有ドキュメントに置き、最新版がどれか迷わない状態にします。

すべてを一度に移す必要はなく、まず進捗管理と課題管理から始めるケースがよく見られます。

導入の進め方

次の軸は「誰が・何を・どの順で進めるか」です。クラウドツールは契約すればすぐ使えますが、使い方のルールを決めないまま配ると、入力されない列や放置された課題が増えていきます。おおまかには次の順で進めると落ち着きます。

  1. 現状の業務を書き出す
    PMが、今どの表計算ファイルやメールで何を管理しているかを洗い出します。移す対象と、当面は紙や既存ファイルのまま残すものを分けます。
  2. ツールと項目を決める
    進捗ボードに持たせる列、課題一覧に入れる項目、工数の入力単位などを先に決めます。項目を増やしすぎると入力負荷が上がるため、最初は必要なものに絞ります。
  3. 小さく試す
    一つのプロジェクトや一部のメンバーで先に使い、入力のしやすさや集計のずれを確認します。ここで運用ルールの粗さが見えてきます。
  4. 全体へ広げる
    試した結果をもとに入力のタイミングや更新の頻度をルール化し、他のプロジェクトへ広げます。PMは定例会議の前後に更新を促す役割を担います。

導入そのものより、更新が続く状態をつくるほうに手間がかかります。入力が負担にならない範囲に項目を保つことが、定着を左右します。

つまずきやすい点

軸を「どこで失敗しやすいか」に移すと、クラウド化でよく起きる典型的な形が見えてきます。ツールを入れただけでは管理は良くならず、むしろ情報が二重になることもあります。

  • 入力されず実態とずれる
    メンバーが更新しないと、クラウド上の進捗と現場の実態が食い違います。PMが古い情報のまま報告してしまう事態につながります。
  • 従来の表計算ファイルと二重管理になる
    使い慣れたファイルを手放せず、クラウドと手元ファイルの両方を更新する状態が続くと、手間が増えるだけになります。どちらを正本にするか決めることが必要です。
  • 項目を増やしすぎる
    管理したい気持ちから列や入力欄を足していくと、入力に時間がかかり、かえって更新が止まります。見る人が本当に使う項目に絞る判断が要ります。
  • アクセス権や情報の扱いが曖昧になる
    社外メンバーが関わる場合、誰がどこまで見られるかを決めないまま共有すると、見せたくない情報まで広がる恐れがあります。

いずれも、ツールの機能ではなく運用ルールと習慣の問題です。PMが更新状況に目を配り、入力の負担を調整し続けることで、ずれは小さく保てます。

従来のオンプレ型ツールとの違い

最後の軸は「従来の自社設置型ツールと何が変わるか」です。両者を同じ観点で並べると、クラウド活用の向き不向きが見えてきます。

  • 情報へのアクセス
    オンプレ型は社内ネットワークからの利用が中心でしたが、クラウドは場所を問わずブラウザから見られます。在宅や客先からの更新がしやすくなります。
  • 導入と運用の手間
    自社サーバーの構築や保守が不要になり、サービス側の更新で機能が増えていきます。一方で、サービス提供元の都合に合わせる前提になります。
  • 費用のかかり方
    初期の設備投資よりも、利用人数や期間に応じた継続的な支払いが中心になります。長く大人数で使う場合の総額は、事前に見積もっておくと判断しやすくなります。
  • 情報の置き場所
    データが社外のサービス上に置かれるため、扱う情報の種類によっては社内規定との照らし合わせが必要です。

どちらが優れているかではなく、プロジェクトの規模や関係者の働き方に合うかで選ぶ考え方が現実的です。分散したメンバーが多いほど、クラウド活用の利点が出やすい傾向があります。

PMキャリアでの活かし方

クラウドツールを使えること自体より、ツールに乗せる管理の設計ができることが、プロジェクトマネージャーとしての価値につながります。どの業務をクラウド化し、どの項目を残し、誰にどのタイミングで更新してもらうかを決める判断は、ツールが変わっても通用する力です。

職務経歴書や面談の場では、使ったサービス名を並べるだけでなく、分散したメンバーの進捗をどう見える化したか、二重管理をどう解消したか、入力の定着をどう促したかといった具体を語れると、進め方そのものを設計できる人として伝わりやすくなります。働き方が分散するほど、こうした経験の説明力は効いてくると考えられます。

よくある質問

PM業務のクラウド活用はどこから始めればよいですか。

まず進捗管理と課題管理から始めるケースがよく見られます。今どのファイルで何を管理しているかを書き出し、移す対象を絞ってから、一つのプロジェクトで小さく試すと運用の粗さが早く見えます。最初から全業務を移さないことが定着のこつです。

クラウド化で管理が自動的に良くなりますか。

ツールを入れただけでは良くなりません。メンバーが更新しないと実態とずれ、従来の表計算ファイルと二重管理になることもあります。どの情報を正本にするか決め、入力の負担を抑え、PMが更新状況に目を配り続ける運用が前提になります。

従来の自社設置型ツールとの主な違いは何ですか。

場所を問わずブラウザから見られる点、サーバーの構築や保守が不要な点、費用が継続的な支払い中心になる点が挙げられます。データが社外サービス上に置かれるため、扱う情報によっては社内規定との照らし合わせが必要になります。

山
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