監修:山根一城(株式会社ポテンシャライト代表取締役CEO / 業界20年)
PM業務のクラウド活用とは、プロジェクトマネージャーが担う進捗管理・課題管理・工数集計・ドキュメント共有といった作業を、自社サーバーではなくクラウド上のサービスで行うことを指します。各メンバーがブラウザから同じ情報にアクセスし、更新がすぐ反映される状態を前提に、PMが計画と実績を一元的に見られるようにする進め方です。
まず軸を「どのPM業務をクラウドに乗せるか」に置いて考えると整理しやすくなります。PMの日々の作業は、計画づくり・進捗の把握・課題やリスクの管理・関係者との情報共有に大きく分かれ、それぞれに対応するクラウドサービスが存在します。
すべてを一度に移す必要はなく、まず進捗管理と課題管理から始めるケースがよく見られます。
次の軸は「誰が・何を・どの順で進めるか」です。クラウドツールは契約すればすぐ使えますが、使い方のルールを決めないまま配ると、入力されない列や放置された課題が増えていきます。おおまかには次の順で進めると落ち着きます。
導入そのものより、更新が続く状態をつくるほうに手間がかかります。入力が負担にならない範囲に項目を保つことが、定着を左右します。
軸を「どこで失敗しやすいか」に移すと、クラウド化でよく起きる典型的な形が見えてきます。ツールを入れただけでは管理は良くならず、むしろ情報が二重になることもあります。
いずれも、ツールの機能ではなく運用ルールと習慣の問題です。PMが更新状況に目を配り、入力の負担を調整し続けることで、ずれは小さく保てます。
最後の軸は「従来の自社設置型ツールと何が変わるか」です。両者を同じ観点で並べると、クラウド活用の向き不向きが見えてきます。
どちらが優れているかではなく、プロジェクトの規模や関係者の働き方に合うかで選ぶ考え方が現実的です。分散したメンバーが多いほど、クラウド活用の利点が出やすい傾向があります。
クラウドツールを使えること自体より、ツールに乗せる管理の設計ができることが、プロジェクトマネージャーとしての価値につながります。どの業務をクラウド化し、どの項目を残し、誰にどのタイミングで更新してもらうかを決める判断は、ツールが変わっても通用する力です。
職務経歴書や面談の場では、使ったサービス名を並べるだけでなく、分散したメンバーの進捗をどう見える化したか、二重管理をどう解消したか、入力の定着をどう促したかといった具体を語れると、進め方そのものを設計できる人として伝わりやすくなります。働き方が分散するほど、こうした経験の説明力は効いてくると考えられます。
PM業務のクラウド活用はどこから始めればよいですか。
まず進捗管理と課題管理から始めるケースがよく見られます。今どのファイルで何を管理しているかを書き出し、移す対象を絞ってから、一つのプロジェクトで小さく試すと運用の粗さが早く見えます。最初から全業務を移さないことが定着のこつです。
クラウド化で管理が自動的に良くなりますか。
ツールを入れただけでは良くなりません。メンバーが更新しないと実態とずれ、従来の表計算ファイルと二重管理になることもあります。どの情報を正本にするか決め、入力の負担を抑え、PMが更新状況に目を配り続ける運用が前提になります。
従来の自社設置型ツールとの主な違いは何ですか。
場所を問わずブラウザから見られる点、サーバーの構築や保守が不要な点、費用が継続的な支払い中心になる点が挙げられます。データが社外サービス上に置かれるため、扱う情報によっては社内規定との照らし合わせが必要になります。