監修:山根一城(株式会社ポテンシャライト代表取締役CEO / 業界20年)
ガントとは、プロジェクトの作業(タスク)を縦に並べ、横軸に時間を取って、各作業の開始と終了を横棒で示した図のことです。一般にはガントチャートと呼ばれ、工程表の一種として使われます。誰が・いつ・何を行うかと、作業どうしの前後関係を一枚で見渡せるため、PMが計画づくりと進捗の確認に用いる基本的な道具になっています。
ガントを引く目的は、頭の中にある段取りを、関係者が同じように読める形に外へ出すことにあります。口頭の「来月までに」では人によって解釈がずれますが、横棒で開始日と終了日を示せば、重なりや待ち時間が目に見えるようになります。PMにとっては、計画を合意する場と、進んでいるかを確かめる場の両方で役立ちます。
具体的には、次のような使われ方をします。
つまずきやすいのは、ガントを「報告のための清書」だと捉えてしまい、作った後に更新されなくなる点です。作る目的が合意と確認である以上、週次など決まった頻度で実績を書き戻してはじめて役に立ちます。
ガントはいきなり横棒から描くものではなく、先に作業を洗い出してから時間軸に並べる順序で作ります。PMが単独で引くより、各工程の担当者から見積もりを集めて組み立てるほうが、現実に近い線になります。
つまずきやすいのは、作業の粒度がばらつくことです。一本の横棒が二か月分あると、半分進んだのか手つかずなのか判別できず、進捗の確認に使えなくなります。おおむね一、二週間で終わる単位まで割っておくと扱いやすくなります。
ガントは描けた時点で完成ではなく、動かし続けることが前提の図です。運用でよく起きる問題を、形として挙げておきます。
もう一つ見落としやすいのが、全ての作業を同じ重みで見てしまうことです。どの作業の遅れが全体の納期を直接押すのか、いわゆるクリティカルパスを意識していないと、本当は余裕のある作業に手を入れて、肝心の作業を見落とすことがあります。横棒の数に埋もれず、締め切りを縛っている線がどこかを見分ける目が要ります。
ガントは工程管理まわりの言葉と混同されやすいため、軸を「何を表す図か」に置いて整理しておきます。似た道具でも、答えたい問いが違います。
つまずきやすいのは、これらを同じものとして扱い、ガントさえあれば計画は足りると考えてしまう点です。やることの洗い出し(WBS)と、締め切りを縛る線の見極め(クリティカルパス)が抜けたガントは、見た目は整っていても判断に使いにくくなります。
ガントを引ける人は多くいますが、PMとして評価されるのは、図をきれいに描ける力よりも、その図を使って合意を取り、遅れの兆しを早く見つけて手を打てる力です。横棒を並べる段階で各担当から見積もりを引き出し、無理のある重なりを事前にずらせるかどうかに、段取りの実力が表れます。
転職を検討する際も、職務経歴書に「ガントで進捗管理をした」と書くだけでは伝わりにくいものです。どの規模の案件で、誰を巻き込み、遅れをどう察知して何を調整したのかという、図の裏側の判断まで言葉にできると、工程を回した経験として読み手に届きやすくなります。道具を使えることと、道具で意思決定を支えられることの違いを、自分の言葉で説明できる状態にしておくとよいでしょう。
ガントとガントチャートは違うものですか。
実務ではほぼ同じ意味で使われます。ガントは、作業を横棒で時間軸上に並べたガントチャートを短く呼んだ言い方です。正式には考案者の名前にちなんだガントチャートが図の名称で、会話の中で縮めてガントと呼ぶ場面が多い、と捉えておくとよいでしょう。
ガントはどんなツールで作りますか。
表計算ソフトで横棒を塗って作る方法から、工程管理に対応した専用ツールまで幅があります。小さな案件なら表計算でも足り、担当や依存関係が多い案件では、実績の書き戻しや並べ替えがしやすい専用ツールが向きます。更新し続けられる作り方を優先して選ぶのが現実的です。
ガントだけで進捗管理はできますか。
全体像の共有には向きますが、それだけでは不足する場面もあります。どの作業の遅れが納期を直接押すのかはクリティカルパスの視点で、作業の抜け漏れはWBSで補う必要があります。ガントは段取りを見渡す土台として使い、他の道具と組み合わせるのが一般的です。