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PM QUEST データ研究室 2026-09-14

同じPM求人でも、企業タイプが変われば「落ちる理由」も変わりました — 選考記録を企業タイプ別に読み直す

0.「山根さん、同じPM職なのに、なんでこんなに結果が違うんですかね」

面接のお見送りが続いた方から、この趣旨のことを言われたことがあります。応募しているのはどれも「プロジェクトマネージャー」の求人です。職務経歴書も同じものを出しています。それなのに、ある会社では一次で終わり、別の会社では最終まで進む。

当然だと思われるかもしれません。ただ、実際にご本人の立場で見ると、これは相当に気持ちが折れる出来事です。何を直せばいいのかが分からないからです。

そこで今回は、当社が支援したPM転職の選考記録を、企業タイプ別に読み直してみました。個社の話は一切しません。似た性格の会社をまとめて束ね、「このタイプは何を見ていて、どこで落ちているのか」を並べます。

本記事の「PM」はプロジェクトマネージャー(PjM・PMO等)を指します。プロダクトマネージャーの話ではありません。数字はすべて当社が支援したPM転職の選考記録の内部集計で、市場全体の統計ではありません。企業名・社数・母数は出さず、比率と傾向のみを公開します。

0-1. 先に、数字の読み方を3点

  1. 誰の何の比率か。当社経由でPM関連ポジションの選考に進んだケースについて、企業側の記録に「評価の観点」または「見送りの理由」として挙がった割合です。求職者アンケートでも内定者分析でもありません。
  2. 合計は100%を超えます。ひとつの選考に対して観点も理由も複数書かれるためです。順位の差より、どの層が厚いかを見てください。
  3. 2026年9月時点の断面です。過去との比較や増減は取っていないため、「昔より厳しくなった」といった話は、この記事ではできません。

1. 結論から言うと

結論から申し上げると、3点です。

  1. タイプによって変わるのは「技術をどの方向に見るか」だけです。上流の構想か、実装の現役性か、内製での推進か。見ている対象が違うだけで、どのタイプも技術面を見ています。
  2. タイプを越えて共通しているのは、スキル以外の3点です。条件(年収・勤務地)、定着性(在籍期間)、そして応募経路の重複。これらは面接の出来と関係なく効いてきます。
  3. 記録に残る「理由」の多くは定型文です。理由が分からないまま終わることは、記録上まったく珍しくありません。分からなかったことを、ご自身の落ち度として回収しないでいただきたいと思っています。

2. まず全体像 — 見られている観点と、落ちている理由

タイプ別に入る前に、全体の分布を置きます。左が企業側が評価の観点として挙げた項目、右が見送り理由として挙がった項目です。対象になっているケースの性質が違うので、二つを引き算することはできません。並べて形を見るためのものです。

2-1. 企業が見ていると記録された観点

マネジメント規模・PM経験の厚み
33%
技術理解・開発経験の深さ
24%
上流工程・要件定義の経験
18%
業界・ドメイン知識
12%
コミュニケーション・説明力
11%
人柄・カルチャーマッチ
9%
自走力・スピード感
5%

2-2. 見送り理由として挙がった項目

経験不足(技術・開発・特定領域)
45%
年齢・将来性への懸念
35%
カルチャー・志向のミスマッチ
32%
年収・条件の乖離
14%
出社・転居・リモート条件
12%
経験の分散・専門性が見えない
6%
説明が冗長・コミュニケーション
5%
スピード感・エネルギー不足
2%
見る観点の1位はマネジメント規模(33%)なのに、落ちる理由の1位は技術・開発の経験不足(45%)です。マネジメント経験は入場券、技術の中身は当落線という構造になっている、と個人的には捉えています。ここから先の話は、この「当落線の位置がタイプごとに違う」という一点に集約されます。

3. 企業タイプ別 — 何を見ていて、どこで落ちているか

選考記録を企業単位で読み、性格の近いものを5タイプに束ねました。どのタイプも複数社をまとめたもので、個社の事情は含めていません。各タイプを「何を見ているか/なぜ落ちるか/面接の前に何を準備するか」の同じ3項目で揃えます。

3-1. タイプA:ITコンサル・上流支援系

何を見ているか構想・企画段階からの関与。要件定義より手前の、投資判断やロードマップ策定に自分が入っていたか。複数プロジェクトを同時に見た経験。そして選考中に出される課題を、構造化して筋の通った話に組み立てられるか。
なぜ落ちるか実績の説明が定性的なまま終わり、規模や効果を数字で語れていないケース。クライアントワークの経験がなく、社内向けの推進のみで完結しているケース。面接まで進んだ場合は、課題に対する掘り下げが表面的だという指摘が目立ちます。
面接の前に何を準備するか関わった案件の「金額・人数・期間」と「自分の決裁範囲」を1行ずつ。加えて、構想から入った案件をひとつ選び、なぜその案に決めたのかを5分で話せる形に。準備の重心は、実績の量ではなく意思決定の深さに置くのが合っていそうです。

3-2. タイプB:SIer・受託開発/開発支援系

何を見ているか技術の現役性。スクラッチ開発やモダンな構成に、直近で自分が手を動かす距離で関わっていたか。あわせて、自ら案件を回せるプレイングマネージャー性と、顧客と直接折衝できる説明力。
なぜ落ちるかこのタイプで最も多いのが「管理はしていたが、技術判断はベンダー任せだった」と読まれるパターンです。運用保守中心で設計を主導していない場合や、特定パッケージの範囲に閉じている場合も同様です。加えて、常駐・出社が前提の求人が多く、勤務条件で入口が閉じる例も一定数あります。
面接の前に何を準備するか直近2年で自分が技術判断に踏み込んだ場面を2つ、判断の中身まで言語化する。規模ではなく踏み込みの深さです。そのうえで、出社頻度と常駐可否は応募の前に数字で決めておく。ここは面接では動きません。

3-3. タイプC:自社プロダクト・SaaS系

何を見ているか内製チームの中で、少人数を現場ごと動かした経験。開発を外に出さずに進めた前提での推進力です。あわせて、出した成果が「その環境だから出たのか、自分の動き方で出たのか」という再現性。
なぜ落ちるか大規模PMOやベンダー管理中心の経験が「守りの経験」と読まれ、募集している動き方と噛み合わないケース。支援・調整の立場が長く、自分で決めた範囲が説明しづらいケース。もうひとつ、組織のフェーズが変わってポジション自体が変わる、という選考外の要因も記録には残っています。
面接の前に何を準備するか成果をひとつ選び、「自分が決めたこと」と「環境が与えてくれたこと」を分けて書き出す。分けて語れると再現性の話になります。希望年収は、組織フェーズによって幅が出るため、早い段階でレンジを共有しておくほうが結果的に消耗が少ないように見えます。

3-4. タイプD:AI・データ活用系

何を見ているかAI・データ領域に、業務としてどれだけの距離で関わったか。そして、変化の速い環境に適応できそうか。志望理由の具体性が、他タイプより明確に評価対象として記録に残るのが特徴です。
なぜ落ちるかAI・データの実務が浅く、企画側からの関与に留まっているケース。大企業や官公庁中心の経歴と、求められる動き方が噛み合わないケース。面接まで進んだ場合、「学び続ける姿勢」への懸念が理由に挙がることがあります。
面接の前に何を準備するかAI・データに触れた業務を、関与の距離が近い順に3つ並べる。触った技術名より、どこまで自分が判断したかです。あわせて、直近1年で新しく身につけたものをひとつ、具体的に言えるようにしておく。

3-5. タイプE:大手事業会社のIT部門・IT子会社系

何を見ているかエンタープライズ規模での開発PM経験と、ベンダーを含む関係者の管理。加えて、品質保証・標準化・ガバナンスといった「仕組みを整える側」の経験。年齢とスキル、年収のバランスも総合的に見られます。
なぜ落ちるか扱ってきた規模が想定より小さいと判断されるケース。標準化や品質面の経験が経歴に見当たらないケース。そして、組織の構成上そもそも受け入れる階層がない、という理由が一定数あります。これは候補者側の問題ではありません。
面接の前に何を準備するか管理したプロジェクトの規模と、その中での自分の権限範囲をセットで書く。規模だけだと「見ていただけ」と読まれます。ルールづくりや標準化に関わった経験は、地味でも必ず棚卸ししておく価値があります。

4. タイプを越えて効いていたもの

5タイプを並べて分かったのは、違いより共通項のほうが実務的に重いということでした。以下の4点は、ほぼすべてのタイプの記録に出てきます。

  1. 条件は、面接の前に決着している。年収の乖離14%と勤務条件12%を合わせると26%。面接対策では1ミリも動かない領域が、これだけの比率であります。応募前に数字で決めておくのが、いちばん費用対効果が高いと考えています。
  2. 定着性は、単独の項目として見られている。在籍期間の短さや転職回数は、スキル評価とは別枠で記録に残ります。ここは過去を変えられないので、各社を離れた理由に一本の筋を通すという準備に振り替えるしかありません。
  3. 年齢は、単独ではなく相対で書かれている。記録に残る表現は「年齢に見合ったスキル」「年齢と年収のバランス」という形がほとんどで、年齢だけを理由にした記載は多くありません。全体で35%という比率の内訳は、実際には経験の厚みの話が混ざっていると見ています。
  4. 応募経路の重複で、選考前に終わることがある。他の経路ですでに推薦されていた、一定期間内に応募済みだった、という理由での見送りは、タイプを問わず記録に出てきます。これは実力と無関係に入口が閉じるパターンなので、今すぐ確認できる項目として最優先だと思っています。
この4点はいずれも面接の場では動かせないものです。逆に言えば、面接の準備を始める前の段階で潰せます。準備の順番としては、ここが先だと考えています。

5. このデータから言えないこと

誠実に線を引いておきます。今回の集計から言えないのは、以下です。

もうひとつ、記録そのものの限界も書いておきます。見送り理由は定型文で終わることが相当あります。「慎重に検討した結果」という一文だけ、というケースです。つまり企業側も、理由を毎回言語化しているわけではありません。理由が分からないまま終わった選考について、ご自身の中で原因を作り込みすぎないほうがよい、というのが記録を読んだ率直な感想です。

6. 今週やるとしたら、この3つ

分布をそのまま作業に落とすと、順番はこうなります。いずれも面接の前にしか動かせないものから並べています。

  1. 応募履歴の棚卸し(所要15分)。過去に自分がどの会社に、いつ、どの経路で応募したかを一覧にする。重複応募と一定期間内の再応募は、選考の前に入口が閉じます。エージェントを使っているなら、この一覧を先に渡すだけで無駄打ちが減ります。
  2. 条件を数字で3行(所要10分)。年収の下限、出社頻度の上限、転居の可否。この3つを数字で書き切る。全体の26%がここで決着している以上、曖昧なまま進めるのは分の悪い賭けだと思っています。
  3. タイプを1つ選んで、冒頭3行を書き分ける(所要60分)。職務経歴書の冒頭3行は、タイプによって置くべきものが違います。タイプAなら構想への関与、タイプBなら技術判断の実例、タイプCなら内製での推進、タイプDならAI・データとの距離、タイプEなら規模と権限。全社に同じ1枚を出すより、受ける順番を決めて、そのタイプ用に1枚だけ作るほうが、結果的に手数は少なくて済みます。

7.(結論)

最後に。PMは同じ肩書きでも、会社によって求められる中身が大きく変わる職種です。今回タイプ別に読み直してみて、あらためてそれを実感しました。裏を返せば、落ちたのは「PMとして足りなかった」からではなく、そのタイプが見ている方向と、自分の厚みがずれていただけ、という場合が相当あるということです。

もちろん、当社が関わった選考からの集計であり、市場全体を代表するものではありません。ただ、次にどの順番で受けるかを決める材料としては、使える解像度だと思っています。

まだ書きたいことはあるのですが、長くなりすぎてしまうため、一旦ここで終えたいと思います。今後もPM Questのデータ研究室として、選考記録の観測結果をアウトプットしていきます。では、今日もがんばりましょう。

出典: 当社が支援したPM転職の選考記録(2026年9月時点の集計)

※本記事の数値は、PM Quest(株式会社ポテンシャライト)に蓄積された選考記録・市場観測データの集計に基づきます。個別の企業・候補者を特定できる情報は含みません。

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