PM QUEST データ研究室 2026-09-14
面接のお見送りが続いた方から、この趣旨のことを言われたことがあります。応募しているのはどれも「プロジェクトマネージャー」の求人です。職務経歴書も同じものを出しています。それなのに、ある会社では一次で終わり、別の会社では最終まで進む。
当然だと思われるかもしれません。ただ、実際にご本人の立場で見ると、これは相当に気持ちが折れる出来事です。何を直せばいいのかが分からないからです。
そこで今回は、当社が支援したPM転職の選考記録を、企業タイプ別に読み直してみました。個社の話は一切しません。似た性格の会社をまとめて束ね、「このタイプは何を見ていて、どこで落ちているのか」を並べます。
結論から申し上げると、3点です。
タイプ別に入る前に、全体の分布を置きます。左が企業側が評価の観点として挙げた項目、右が見送り理由として挙がった項目です。対象になっているケースの性質が違うので、二つを引き算することはできません。並べて形を見るためのものです。
| マネジメント規模・PM経験の厚み | 33% |
| 技術理解・開発経験の深さ | 24% |
| 上流工程・要件定義の経験 | 18% |
| 業界・ドメイン知識 | 12% |
| コミュニケーション・説明力 | 11% |
| 人柄・カルチャーマッチ | 9% |
| 自走力・スピード感 | 5% |
| 経験不足(技術・開発・特定領域) | 45% |
| 年齢・将来性への懸念 | 35% |
| カルチャー・志向のミスマッチ | 32% |
| 年収・条件の乖離 | 14% |
| 出社・転居・リモート条件 | 12% |
| 経験の分散・専門性が見えない | 6% |
| 説明が冗長・コミュニケーション | 5% |
| スピード感・エネルギー不足 | 2% |
選考記録を企業単位で読み、性格の近いものを5タイプに束ねました。どのタイプも複数社をまとめたもので、個社の事情は含めていません。各タイプを「何を見ているか/なぜ落ちるか/面接の前に何を準備するか」の同じ3項目で揃えます。
| 何を見ているか | 構想・企画段階からの関与。要件定義より手前の、投資判断やロードマップ策定に自分が入っていたか。複数プロジェクトを同時に見た経験。そして選考中に出される課題を、構造化して筋の通った話に組み立てられるか。 |
|---|---|
| なぜ落ちるか | 実績の説明が定性的なまま終わり、規模や効果を数字で語れていないケース。クライアントワークの経験がなく、社内向けの推進のみで完結しているケース。面接まで進んだ場合は、課題に対する掘り下げが表面的だという指摘が目立ちます。 |
| 面接の前に何を準備するか | 関わった案件の「金額・人数・期間」と「自分の決裁範囲」を1行ずつ。加えて、構想から入った案件をひとつ選び、なぜその案に決めたのかを5分で話せる形に。準備の重心は、実績の量ではなく意思決定の深さに置くのが合っていそうです。 |
| 何を見ているか | 技術の現役性。スクラッチ開発やモダンな構成に、直近で自分が手を動かす距離で関わっていたか。あわせて、自ら案件を回せるプレイングマネージャー性と、顧客と直接折衝できる説明力。 |
|---|---|
| なぜ落ちるか | このタイプで最も多いのが「管理はしていたが、技術判断はベンダー任せだった」と読まれるパターンです。運用保守中心で設計を主導していない場合や、特定パッケージの範囲に閉じている場合も同様です。加えて、常駐・出社が前提の求人が多く、勤務条件で入口が閉じる例も一定数あります。 |
| 面接の前に何を準備するか | 直近2年で自分が技術判断に踏み込んだ場面を2つ、判断の中身まで言語化する。規模ではなく踏み込みの深さです。そのうえで、出社頻度と常駐可否は応募の前に数字で決めておく。ここは面接では動きません。 |
| 何を見ているか | 内製チームの中で、少人数を現場ごと動かした経験。開発を外に出さずに進めた前提での推進力です。あわせて、出した成果が「その環境だから出たのか、自分の動き方で出たのか」という再現性。 |
|---|---|
| なぜ落ちるか | 大規模PMOやベンダー管理中心の経験が「守りの経験」と読まれ、募集している動き方と噛み合わないケース。支援・調整の立場が長く、自分で決めた範囲が説明しづらいケース。もうひとつ、組織のフェーズが変わってポジション自体が変わる、という選考外の要因も記録には残っています。 |
| 面接の前に何を準備するか | 成果をひとつ選び、「自分が決めたこと」と「環境が与えてくれたこと」を分けて書き出す。分けて語れると再現性の話になります。希望年収は、組織フェーズによって幅が出るため、早い段階でレンジを共有しておくほうが結果的に消耗が少ないように見えます。 |
| 何を見ているか | AI・データ領域に、業務としてどれだけの距離で関わったか。そして、変化の速い環境に適応できそうか。志望理由の具体性が、他タイプより明確に評価対象として記録に残るのが特徴です。 |
|---|---|
| なぜ落ちるか | AI・データの実務が浅く、企画側からの関与に留まっているケース。大企業や官公庁中心の経歴と、求められる動き方が噛み合わないケース。面接まで進んだ場合、「学び続ける姿勢」への懸念が理由に挙がることがあります。 |
| 面接の前に何を準備するか | AI・データに触れた業務を、関与の距離が近い順に3つ並べる。触った技術名より、どこまで自分が判断したかです。あわせて、直近1年で新しく身につけたものをひとつ、具体的に言えるようにしておく。 |
| 何を見ているか | エンタープライズ規模での開発PM経験と、ベンダーを含む関係者の管理。加えて、品質保証・標準化・ガバナンスといった「仕組みを整える側」の経験。年齢とスキル、年収のバランスも総合的に見られます。 |
|---|---|
| なぜ落ちるか | 扱ってきた規模が想定より小さいと判断されるケース。標準化や品質面の経験が経歴に見当たらないケース。そして、組織の構成上そもそも受け入れる階層がない、という理由が一定数あります。これは候補者側の問題ではありません。 |
| 面接の前に何を準備するか | 管理したプロジェクトの規模と、その中での自分の権限範囲をセットで書く。規模だけだと「見ていただけ」と読まれます。ルールづくりや標準化に関わった経験は、地味でも必ず棚卸ししておく価値があります。 |
5タイプを並べて分かったのは、違いより共通項のほうが実務的に重いということでした。以下の4点は、ほぼすべてのタイプの記録に出てきます。
誠実に線を引いておきます。今回の集計から言えないのは、以下です。
もうひとつ、記録そのものの限界も書いておきます。見送り理由は定型文で終わることが相当あります。「慎重に検討した結果」という一文だけ、というケースです。つまり企業側も、理由を毎回言語化しているわけではありません。理由が分からないまま終わった選考について、ご自身の中で原因を作り込みすぎないほうがよい、というのが記録を読んだ率直な感想です。
分布をそのまま作業に落とすと、順番はこうなります。いずれも面接の前にしか動かせないものから並べています。
最後に。PMは同じ肩書きでも、会社によって求められる中身が大きく変わる職種です。今回タイプ別に読み直してみて、あらためてそれを実感しました。裏を返せば、落ちたのは「PMとして足りなかった」からではなく、そのタイプが見ている方向と、自分の厚みがずれていただけ、という場合が相当あるということです。
もちろん、当社が関わった選考からの集計であり、市場全体を代表するものではありません。ただ、次にどの順番で受けるかを決める材料としては、使える解像度だと思っています。
まだ書きたいことはあるのですが、長くなりすぎてしまうため、一旦ここで終えたいと思います。今後もPM Questのデータ研究室として、選考記録の観測結果をアウトプットしていきます。では、今日もがんばりましょう。
出典: 当社が支援したPM転職の選考記録(2026年9月時点の集計)
※本記事の数値は、PM Quest(株式会社ポテンシャライト)に蓄積された選考記録・市場観測データの集計に基づきます。個別の企業・候補者を特定できる情報は含みません。